2006年11月12日

HERSHEY'S

なぜか真夜中に目覚めてしまったから
夜があけてしまう前にチョコレートを食べよう

ビターとかクラッシュとか
そういうのは毎日の中にやまほど抱えているからいらない

小さなタマネギのようなハーシーズは
銀色の薄衣に包まれている

爪をたてずにゆっくりと
それをはぎ取って

言葉はいらないから
静かにわたしの口に入れて
舌を絡めるようにそれを溶かしていって
チョコレート色のしるしを
たくさんわたしの肌に残していって
溶けてゆく
その舌のあたたかさの中で
転がるように溶けてゆく
チョコレートのわたし
記憶以外は あとかたもなくなるまで
わたしのかたちがなくなってしまうまで
チョコレートのわたしを溶かしていって

ビターとかクラッシュとか
今宵はそういうのはなしで
夜があけるまでのあいだに

白日の光の中ではいつも固くなっている
わたしの甘すぎる妄想を
時間をかけて 
ぜんぶ溶かしていって



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posted by noyuki at 22:42| 福岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月05日

トカゲのしっぽ

ああ、そうか、いつも見えているアレは、トカゲのしっぽだったんだなあと、今日やっと気づいた。
青くてテラテラ光っている。
アスファルトの暗がりの中でも、ほんのりとそこにいる。
そこに見えないときも、ずっとずっとそこにある。

トカゲのしっぽが思い出させるのはいつも、わたしが生きているってことだ。
たまたまわたしがこの時間に生きていて、それがずっと続いて、誰かと別れ、誰かと出会い、それを繰り返しながら、いつかこの身体がなくなってしまい、そのあとも、ここにあるわたしの居場所とか月の光をうけて立つ柿の老木とかが、なにもなかったように続いてゆく、というようなことだ。

生きてるってことはもっと当たり前のことなのに。

トカゲのしっぽは、当たり前のことを当たり前と思わせてくれなくて。
わたしとかわたしのいる世界を俯瞰した場所まで・・・
そんな場所になんていたくないのに。

明け方の夢の中ではみんないなくなっていた。
わたしと、遠い場所にいる友だけが生き残って、わたしは家を離れてそこでふたりで暮らすことにした。
待てよ。
ほんとにみんな死んでしまったの? どうしてわたしとあの子だけが残ったの?
どうしてわたしは知らない町で暮らすの?

トカゲのしっぽはいつも、わたしの大切なものたちが、いずれは消えてしまう存在だってことをずっとずっと忘れるなって言うのだ。

わたしはそれが大きらいだ。
もっと当たり前のように、みんなと一緒にいたいのだ。

夢から覚めるとき、トカゲのしっぽが左右に揺れた。
ちょうどバイバイするみたいに。
ああ、やっといなくなってくれた。
トカゲのしっぽが見えるのはいつもこの時期だけだ。
なのに、その時間はいつも永遠のように思えるのだ。

わたしはこれから、トカゲの記憶を洗い流すために血を流すのだ。
子宮をふり絞って。
記憶を洗い流すのだ。

トカゲのしっぽの見えない世界では。
もっとなにもかもが、当たり前のように動いていてくれる。

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posted by noyuki at 22:27| 福岡 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする