
たぶん脳みその中にはいろんな感情が転がっているんだろう。
それは浜辺の貝殻のように無数だったり、夜空に輝く星のようだったり、きらめいたり曖昧にしか見えなかったり、手に取って眺められたり、片隅で忘れ去られてしまったりしているものなんだと思う。
ひとりで列車に乗ってココロをブランクな状態にしていると、ぐじゃぐじゃに散らばっていたその感情の石ころの中からたったひとつのものが見えてきた。
わたしは泣きたかったんだと思った。
泣くというのは悲しいのとは違う。
うち震えるような激しい感情に近い感じ。
どこかにある絶対的な暗黒。
傍らにあるはずなのに、薄めてしか向き合うことのできない絶対の孤独。
そういうものを前にしたときの言いようのない無力さを受け入れ、子供のように泣きたかんだと思った。
どこにやってしまってたんだろう? わたし。それを。みたいなものを再確認して。
愕然としたり、複雑だと思ったり。とまどったり。
そうしてひとりで宿に帰ったら号泣しようなどと思っているうちに、取り紛れて落ち着いて。
家に帰るとまた忙しさに取り紛れて、それは抜け落ちてしまった。
だけどもそれを思い出したことだけは、幸運にも忘れないでいられた。
わたしの中には、今ここの生活している中では必要とされてない、いろんな感情が詰まっていること。
一生露呈しないもの。
ずっと格闘しながらも、おそらく一生答えの出ないもの。
そういうものが確実にある、自分の「中身」みたいなものが、たぶんわたしは嫌いではないのだろうと思うことにした。

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