2008年07月07日

伊坂幸太郎の備忘録 その2

* ラッシュライフ
 
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 これを先に読むべきだったのだとあとから気づいた。発表作品順に読んだ方が「いいことがある」と言われたのは、これだったのか。
 五通りの人生が同時進行。重厚かつ複雑な小説ではあるが、どれも読み応えのある話でどんどん読み進める。
 そうして、自分がどうしてこれだけ伊坂幸太郎を読み続けるかなんとなくわかった。

 わたしは「その視点」が欲しかったのだ。
 「その視点を常備していたい」と思っていたのだ。

 伊坂幸太郎の視点には愛がある。単純に主人公をすべて愛しているのとは違う。優秀なカウンセラーが愚か者に見えてしまう愛。新興宗教に翻弄される主人公の背後の人生に対する愛。自暴自棄になってしまう失業者に、最後にプライドのあるひとことを吐かせてしまう愛。
 そうして、まるでおとぎ話のようなエンディングを主人公に与えてしまう愛。
 それが伊坂幸太郎の物語の力だ。

 なんだか嬉しくなる小説。
 そういう視点で、このひどい現実世界を見つめていたいと思わせる小説。

* 陽気なギャングが地球を回す

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 四人組の強盗のクールな仕事があり、それを邪魔する強盗がまたいるというちょっとファンキーな話。
 こういう軽さの中に「かっこよさ」が出るんだと思う。個人的には、この四人の出会いを描いたエピソードがお気に入り。偶然の中にも、お互いの絆、指向性を一発で見分けるような出会い。カッコイイ!
 あと雪子が自分の元夫のダメさ加減を吐き捨てるように言うセリフもキレてる、すごくいい。
 もちろんバラバラに見える事件は巧妙に繋がっている。
 騙しあいも、もちろんおもしろい。
 シリーズものでどれだけでも読んでみたいと思う。


 伊坂幸太郎の小説には、まるで一定数そこにいることが当然であるかのように、障害を持った人々が登場する。目が言えないなどの身体の障害から自閉症などまで様々だ。
 彼らはけして同情されるような存在ではない。
 障害というひとつの特性を尊ばれてそこにいる。
 繰り返し、言いたい。 
 そういうことまでふくめて、わたしは「伊坂幸太郎の視点」をいつまでも欲しいと思ってしまうのだ。


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posted by noyuki at 21:47| 福岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎の備忘録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする