2012年09月22日
2012年09月15日
浅瀬を駆け足で駆け抜けることについて
転職したら仕事が増えた。
少々ではあるけれど、収入も増えた。
いえ、アフェリエイトとかマルチまがい商法の話じゃないけれど、まじめに仕事をしているって話です。
前職を辞めるときにかなりな挫折をした(もうこの件については話したくないので省略します)。だから私は、ちゃんと自分をやりなおしたかった。
今の職場では、前職の経験も生かされて、まあまあ重宝されていて、だんだん任される仕事の幅も広がっていった。少々の無理もしたし疲労もした。
それでも、わたしは、挫折の記憶を消したかったし、なによりも仕事は楽しかった。
「でも、もう、そのあたりでストップだよ、言われるままに仕事を増やすのは辞めて、ちょっとは断りなさい」
そんなときに、年上の友人ふたりからまったく同じことを別々に言われて、すごく驚いたのだった。
「そういうふうにはできてないでしょ。もっとゆるく生活してて、なにかを書いたり、考えたり、そんなあなたが、仕事のことばかり考えている。だれかに重宝されるのは嬉しいよ。だけどね。そのために自分以上のことをやったって、そりゃ無理がくるだけなんだから」
ほんとは自分でも、うすうすわかっていたけれど、ほんとに友人たちはすごいなあ。
わたしが、泳いでいた底の見えない深い海に背を向けて、水たまりののような浅瀬を駆け足で走っている姿に気づいている。
そしてわたしは、この場所が駆け足で走るための浅瀬ではなくて、ほんとうはその先に深い海が横たわっていることに気づいている。
ひとつだけわかっているのは、駆け足で走るときに、自分のポケットからたくさんの砂がこぼれ落ちているってことだ。
さてさて。
何がしたくて、何をどういうふうに変えればいいのか考えるのは時間がかかる。
いつか、こぼしていったそれを、振り返って拾い集められたらいいなと思う。
まずは、そこからかな?
まだまだ時間もかかりそうだ。

2012年09月05日
パン屋再々襲撃
夏のあいだ、あまり食欲がなかったのが、9月になって少し温度がさがったせいか、急速に空腹を感じた。
それも、夜の11時に突然だ。
もともと7時までには夕食をすます。それ以降は水分以外はほとんど口にしない。
もちろん外食する日までそれを守るほどストイックではないのだが、おおまかに私の胃袋は、夜はものを食べないようにできている。
なのに、呪いにかかったように空腹だった。
とてもこのまま眠ることなんてできない。
そもそも、そんな空腹を感じることなんてここ何年もなかったので、自分でもどうしていいかわからなかった。
それで、パン屋を襲撃したのにクラシック音楽を聞かされて厳密な襲撃ができなかったり、マクドナルドを襲撃したのに手ひどいマニュアルの壁にはばまれてやはり計画通りの襲撃ができなかった彼のことを思い出した。
パン屋を襲撃することを考える。
このあたりにはイオン系のスーパーがあって、手作りパンがそこにはあるはずだ。店員はそれを万引きと呼ぶだろう。
ずっと妥協して、コンビニのパンを買いにいくことを考える。だけど、どう考えてもコンビニの袋入りのパンはマクドナルドほどの食指も動かなかった。
結局台所の収納に日本製のクッキーが2枚見つけ、それを食べて苦いお茶を飲んだら、それで、暴力的な呪いがすーっと引いていった。
気づいたときには、ほどけていた。
最近は、きゅっと結んでいたものがほどけて、ほつれて、その絡まり方が少々複雑になっている。わからないままに保留にしているものをたくさん放置したままだ。
答えはひとつじゃない、ってずっと思っている。
ほどけすぎて、最後まで答えを出さなくていいと思っている。
その状態は居心地悪くない、けれど、もっとシンプルだった欲望を思い出して、そのエネルギーがすごい勢いで身体の中を流れていたことまでも思い出した。
欲望はもっとシンプルだったはずだよね。
今日はこの本を読んでみよう。
呪いのような暴力的な空腹が思い出させてくれた。秋の夜の読書の宿題。
