2012年12月31日

読書総括

镸い一年だった。離職、勉強、そして再び仕事。
めまぐるしく環境も変わって、たくさん勉強して、仕事もまだ新米で覚えることがいっぱいだった。
「もう、机を並べて勉強した日々が何年も昔に思えるね」って言われて、ほんと、そうだな〜、って思った。

あまり本を読んだ印象が残っていない。
現実を追いかけるのにいっぱいのときってそういうものなのかもしれない。
そんな中で心に残った本をいくつか。

* 中脇初枝「きみはいい子」

すごく泣きながら読みました。うまく人を愛せない連鎖の中で、タイトルは著者がなげかけた大切なメッセージのように思えて。
物語の中よりもハードな現実ってたくさんあるんだと思う。その現実にたいして「物語」ができることはすごく少ない。
だけど、ただ記録するだけではない、愛のあふれたメッセージがほどよく見え隠れしていて、ほんとに好きな本でした。

* 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」

そして、そんな一年の中で、もう好きで好きで続けて二度読みした本。
これも連作短編というカタチだけど、タイトル作の「残り全部バケーション」が大好き。
「岡田」が大好き! そして、岡田くんのまわりの人が、わたしと同じような思いで彼を見つめてくれているのが嬉しくて。
また、年があけたら、ゆっくり感想書きます。
「夜の国のクーパー」もよかったけれど、ああ、とにかくこの空気が好きで。
今年最後にこの本に出会えてよかったです。

* 盛田隆二「二人静」

文庫化を記念して読み返しています。
読み返しながら、やはりハードな現実を物語が追いかけ、追い越し、あらたな何かを心に置いていってくれるような気持ちになるから、既出だけど、もういっかい。

生きているのは何のため?

仕事をしていて最近、ずっとそのことを考えています。
案外答えはすごくシンプルなことじゃないかと思う。まだその答えは出ていないけれど。
目覚めて誰かに「今日は寒いね」って言って、「そうですね」って帰ってくるとか、そんなことじゃないかな。
そんな他愛ないことでさえも、生きてなければ繋がれない。

あなたがあなたのあかりさんに出会えますように。
誰かに会えるのを楽しみにして、誰かのことを心配して、誰かのために何かをしたいって思えて。
自分自身を卑下することなく、そんな繋がりの現実を生きていけますように。

まだまだ答えはでないし、ずっとずっと出ないかもしれないけれど、生きているかぎり、答えは先延ばしにできるし、少しずつ本当のことに近づいていくんじゃないのかな。
そう思いながら、わたしは来年に続きます。

みなさん、よいお年を。


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2012年12月13日

ひさしぶりに10度を超えた日

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暑い季節に生まれたから冬が苦手なんだろうか?
冬に生まれた人は、暑いのは苦手なんだろうか?
そんなふうによく考える。

昼間の温度が10度を切ると気持ちがすさむ。
そんな日がずっと、続いて、今日はやっと暖かかった。
そして明日は雨だってさ。

ああ、冬はきらいだ。カラダがこわばっている感じがする。
それなのに。冬のいちごも冬の刺身も、身がしまっていておいしいと思ってしまうのだ。


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2012年12月12日

ミドリの森 2

ミドリ

目覚めたら、天井の色がいつもとちがってた。
私の部屋の木目の天井ではない、白いクロス貼りではないか。どうして私はこんなところにいるんだろう?
つぎに、誰かの気配で自分が目覚めたことに気づいた。

カラダの中からクチュクチュって音がする。私の水音だ。知らない指先が、その水音を確かめているのだ。
そして、確かめ終えると、今度は私をこじあけていった。
自分でも意外なくらいスルスルと、ヘビが私の中に滑り込んでいくのがわかる。
薄暗いトンネルをスルスルスルスル。トンネルの壁が気持ちいい。

と、ここでようやく目を開いてみる。
私が目を開いたのも気づかずに、私の上で動いている男がいる。
しばらくしてやっと気づいて、首すじと耳たぶのあいだくらいの場所にキスをしてくる。

誰だっけ?
どうしてこんな所にいるんだっけ?

トンネルの探検が続くあいだ中、私は記憶をたぐっている。
快感は鈍く、目覚めないままで、長くは続かない。
だけど、嫌ではない。
ひさしぶりに私が欲しがっていたのが自分でもわかる。

そうだ。
ショットバーでしこたま酔っ払って、この男の部屋にいっしょに帰ってきたんだ。
「やろうよ」って、たぶん、私だ。そうだ。それだけは覚えている。

男の部屋にふたりで倒れこんで泥酔して寝てしまって、明け方に私たちはこんなことをしてるわけだ。
そこまで記憶が戻ったところで、ああ、そうか、と思っていると、男の動きが激しくなってそれからピタリと止んだ。荒い息遣い。
顔は覚えている。好みの顔だ。けれど名前を知らない。性格もなにも知らない。この男と出会ったときは、わたしはもうしこたま酔っ払っていて、それでも家に帰る気がなくて、誰かと一緒に夜をすごすことばかりを考えていたからだ。

男が、シャワーを先に使うといいと私に言う。デッドラインは8時だから、あと2時間。コーヒーでも煎れるよ、と。

つまりは、男はこのあと仕事に出るわけで、その時間にここから追い出されるという意味だ。土曜日だけど、休日出勤なんだって。
家に帰るのもおっくうだし、バッグのポーチでありあわせの化粧をして、そのまま仕事に行くことにした。
外に出てみると、職場のあるショッピングセンターがものすごく近かったことに気づいた。
かなり早い出勤になるけれど、それは仕方ない。

ああ、またやってしまった。
ほんとはセックスなんて大嫌いだって思っているくせに、月に1、2度、なにかの拍子に誰かとやりたくて仕方なくなる。、この男とははじめて。そもそも、昨日はじめて会って、はじめて口聞いたくらいなんだから。

誰にも一生言わないって決めたことがある。
私は一生、そのことを喋らない。
そして、あの男はもう、この世にはいない。
もう誰もそのことに触れることはできないのだ。
たしかにあった事でさえも、そんなふうにして、なかったことにしてしまえるだろうか?
してしまえればいいと、心底思う。だけど実際にあったことを、なかったことになんてできやしない。誰にも言わなくったって、私は自分がそれで幸せになれるなんて思えない。
人生はおもしろくない。むしろ、つらい。いつ死んだって、いい。その瞬間私は、ああ、やっと終わったって思うにちがいない。

そうして私は、月に一度くらい、誰でもいいから抱かれたくなってしまう。
一体私のカラダは何を望んでいるのだろう?

私が早く着いたのでサトミが少し驚いた顔をした。
その他は、日常は何も変わらない。
わたしはまだキレイだし、若い時のままのプロポーションを維持している。夜ごとの酒まみれにしてはいい成績だ。わたしは客にも男友達にも羨望の目で見られる。

歓楽街に向かう男たちは、駅の構内よりも近道になるという理由でショッピングセンターの二階通路を横切ってゆく。
そして目の端で、顔見知りの男たちは。私がネイルサロンに座っていることを確かめる。
ときには、自分のいる店を耳打ちしてゆく。

この場所にいるかぎり、飲み友達に事欠かない。
だからわたしは、本店よりもこちらの店の方が好きなのだ。

(まだ続くかもしれない)


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posted by noyuki at 20:58| 福岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ミドリの森 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする