めまぐるしく環境も変わって、たくさん勉強して、仕事もまだ新米で覚えることがいっぱいだった。
「もう、机を並べて勉強した日々が何年も昔に思えるね」って言われて、ほんと、そうだな〜、って思った。
あまり本を読んだ印象が残っていない。
現実を追いかけるのにいっぱいのときってそういうものなのかもしれない。
そんな中で心に残った本をいくつか。
* 中脇初枝「きみはいい子」
すごく泣きながら読みました。うまく人を愛せない連鎖の中で、タイトルは著者がなげかけた大切なメッセージのように思えて。
物語の中よりもハードな現実ってたくさんあるんだと思う。その現実にたいして「物語」ができることはすごく少ない。
だけど、ただ記録するだけではない、愛のあふれたメッセージがほどよく見え隠れしていて、ほんとに好きな本でした。
* 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」
そして、そんな一年の中で、もう好きで好きで続けて二度読みした本。
これも連作短編というカタチだけど、タイトル作の「残り全部バケーション」が大好き。
「岡田」が大好き! そして、岡田くんのまわりの人が、わたしと同じような思いで彼を見つめてくれているのが嬉しくて。
また、年があけたら、ゆっくり感想書きます。
「夜の国のクーパー」もよかったけれど、ああ、とにかくこの空気が好きで。
今年最後にこの本に出会えてよかったです。
* 盛田隆二「二人静」
文庫化を記念して読み返しています。
読み返しながら、やはりハードな現実を物語が追いかけ、追い越し、あらたな何かを心に置いていってくれるような気持ちになるから、既出だけど、もういっかい。
生きているのは何のため?
仕事をしていて最近、ずっとそのことを考えています。
案外答えはすごくシンプルなことじゃないかと思う。まだその答えは出ていないけれど。
目覚めて誰かに「今日は寒いね」って言って、「そうですね」って帰ってくるとか、そんなことじゃないかな。
そんな他愛ないことでさえも、生きてなければ繋がれない。
あなたがあなたのあかりさんに出会えますように。
誰かに会えるのを楽しみにして、誰かのことを心配して、誰かのために何かをしたいって思えて。
自分自身を卑下することなく、そんな繋がりの現実を生きていけますように。
まだまだ答えはでないし、ずっとずっと出ないかもしれないけれど、生きているかぎり、答えは先延ばしにできるし、少しずつ本当のことに近づいていくんじゃないのかな。
そう思いながら、わたしは来年に続きます。
みなさん、よいお年を。
