本日到着して、パラパラとページをめくっただけで興奮が収まらず、こうしてブログに書いている。
いやはや、よくぞここまで、そう思うほどに編集者の「愛」があふれている。
佐藤正午という小説家の書いた文章なら、レシートの裏の走り書きから、ネットの文章、新聞に書いた短い文章まで、なにひとつ漏らさずファイルし、ひとつひとつアイロンをかけて揃えて丁寧に製本したといった印象。
現在は岩波書店のホームページでの連載となっている「小説家の四季」から、直近では伊坂幸太郎氏の「残り全部バケーション」のあとがき、山田風太郎賞受賞のさいに西日本新聞に書かれた文章まで、そして、伝説の名作「盛田隆二氏の(夜の果てまで)のあとがき」まで!
ほんとうに、「全て」が入っているのである。
どんなに好きな文章であれ、わたしたちは読んでは消費していくのだ。
何度も読むのに、それでも「名文」は本棚の片隅や新聞の切れ端として、消費されてしまうのだ。
それを消費されて消えていかないようにと大事に留める人がこの世の中にいる。
おかげで、わたしは、一度消費して、頭のすみっこに追いやった大事なものを思い出せる。
本を手にとった瞬間「作り手の愛」の重さを掌に感じるような、そんな本です。

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