2016年08月31日

「蜜と唾」光文社 盛田隆二


蜜と唾 -
蜜と唾 -


ひとことで言うと怖かった。
誰が悪人なのか、どういう意図でいろんなことが起こるのか、最後までわからない。
原因はわからないけれど、なにかが起こり続けている。
その「怖さ」の正体を知りたくて一気に読んでしまった。

亮平はノンフィクションライター。というと、聞こえはいいが、ほとんどの収入はweb記事や書き起こし原稿。単価の安い仕事を大量にこなし、次の取材費もままならない。
そんな亮平のもとに、昔家庭教師をしていた拓海の母美帆子から「雑誌で名前を見つけた」との電話が入り、そこから、不可解な物語がはじまり、美帆子の夫は謎の死をとげる。

「雪の華」のママ美帆子、手伝いをするシングルマザーの早紀、二人をとりまく男たち。そして亮平。
みんなみんな悪意が見えないのに、なんだか変だ。

この「いびつなカタチで疾走している今」を読むゾワゾワ感がとても楽しかった。

紐解けばそれは「弱者がうけるDV」であったり「お金に対する嗅覚」であったり、華やかな中にいるのに「不況や貧困の匂い」がつきまとってることであったりするのだけど。
その匂いがまさに「今」そのもので、ほんとにリアルな現代が描けてる犯罪ミステリーだと思った。

とくに亮平くん!
「ブラック企業で働いた体験」から、今はライターとして生活しているけれど、その単価の安さと寝る間を惜しむ生活は、今でも十分ブラックではないか。
いつもいつも締め切りと時間に追われ、日常を絡めとられ、大切なものを逃してしまう。
これが、物語の展開の要にもなるのだけど、ほんとに、何度も何度もドキドキさせられため息をついた。

不穏でいびつな匂いのする作品。
その一貫した「匂い」を存分に楽しめました。


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posted by noyuki at 15:24| 福岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 佐藤正午系 盛田隆二系 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月09日

8/9の空を見上げる





8/9 の空を見上げる#Pray for peace



8/9日 今日は空を見上げて祈る。
友人の習慣に倣ったものだ。

そのたびに思う。
戦争は「見たこともないことなのだ」と。

戦争はテレビや伝聞でしか知らない
なのにこわくて悲惨なものだと知っている。
そういうことを伝えている「人の言葉の力」を、信じてみたい今日の空。


*   *   *


「見たこともないものを」どれくらい信じればいいのだろう?

わたしの幼少の記憶では、お盆には、死んだおじいちゃんが裏木戸から入ってきて「ただいま」と言った。
病気の日には、まるでわたしが死んでしまったかのように、障子の向こうにたくさんの人影が集まった。

こないだ、朝起きたら、自分の「中の人」が変わったような気がした。
友人に話したら「8/2日にそういうことが起こりやすいのだそうだ」と言われ心底びっくりした。
そうか。立春の半年後なんだ、
わたしは毎回立春のあたりに「中の人」がそわそわする。
そしてまたそれを別の知り合いに言ったら、「立春よりか、新月、満月の関係じゃないか?」」と言われた。

ときどき雲を眺めていたら「地震雲」だと思うことがあって、これは信じない人が多いけれど、やはりタイミングよく地震が起こってしまう。
「雲」は関係なしに地震がわかる人がいて、それはたぶん磁場とかで感じるんだろう。



*   *   *



言葉で説明できるものをすべて信じられるわけでもないし。
言葉で説明できないものはよけい怪しげだ。

だけでも有形無形の物事が世界には起こり続けている。

「自分にとって嘘にならないもの」を少しだけ信じておこうと思う。
そして誰に対しても、それが真実だと声高に叫ばずに、しずかに「自分の信じるもの」として取っておこう。


*   *   *


そして。

8/6と8/9に空を見上げるという友人の習慣は。
それはやっぱり倣っていこうと思っている。





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posted by noyuki at 13:44| 福岡 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする