今年の読書予定は、年頭から忙しく、そして幸せで奇跡の連続だった。
「こんな年はめったにないだろう」と言ってしまいそうだが、1年限りのバブルではない可能性もある。
加速度的にもっとすごいが起こるのかもしれない。
* 村上春樹の「騎士団長殺し」上下巻が発売されるというので、年頭から未読の本がたまらないように調整して読んだ。とても楽しめた。騎士団長は魅力的で、重すぎもせず、楽しめた。
* だがしかしゆっくり楽しむわけにもいかない。4月には佐藤正午の「月の満ち欠け」が発売になるのがわかっていたので、またもや調整。「月の満ち欠け」は、あまりのおもしろさに3度読んだ。
* 佐藤正午の文章には中毒性がある。ずるずると何度も読み返し、他の本に移行することができない。それで「えいやっ」と伊坂幸太郎の「AX」に移行したら、けっこうショッキングなどんでん返しでこれもまた名作だった。
そうこうするうちに同氏の「ホワイトラビット」も刊行になり。これには翻弄させられた。
* その間に盛田隆二の「焼け跡のハイヒール」発売される。なかなか出会わないふたりにヤキモキしながらも、戦中戦後の「心の記憶」「町の記憶」が見てきたかのようにビビッドに描かれていて、すごいリアリティに唸った。戦争は悲惨だ、戦争はいろんなものを奪う。そのことを深く感じた。
* なんといっても、長年応援してきた佐藤正午の「直木賞受賞」は感慨深い。候補にあがってのドキドキから発表の瞬間まで、待ち望む幸せを味わった。そして受賞。多くの人が佐藤正午を知って、そして読んでみようと思ってくれた。見たこともない景色が広がった。
* という「最強ラインアップ」で今年の読書は終わるはずだったが、暮れになって、またとんでもなくおもしろい本を読んでしまった。東山彰良「女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた」である。
有象くん無象くんの1年間の大学生活を描く「某、博多の大学」の物語である。
「かわいらしい博多弁を操りながら」好き勝手に男を翻弄する女子大生たち。男もバカだが、女もビッチだ。
もう、大笑い!ビッチちゃんとか、抜け目なっちゃんとか、ほら、あそこの大学におるやん!まさに!
織田作之助賞を取った「僕が殺した人と僕を殺した人」(文芸春秋)の方を読む予定がうっかりおもしろい回り道をしてしまった。
そして2018年も! のっけから忙しそうだ。
*「月の満ち欠けリボーン」新装幀、岩波書店より著者コメントつきの発売。

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* それから、2018年1/4 小学館より「鳩の撃退法」文庫。糸井重里氏の解説で発売。
* 2018年1/6 KADOKAWAより「ダ・ヴィンチ」2月号佐藤正午特集号発売。
またまた楽しい1年がはじまるにちがいない。

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