パンフレットを読みながら時系列を整理しているのだが、まだ翻弄されている。
小説は何度も読んでいる(連載も含めて)。
なのに、まだ、微妙な違いや仕掛けに翻弄されている。
読み解きたい気持ちと、いつまでも翻弄されていたい気持ちが入り混じる心地よい時間。
ああ、こんなふうに作品についていつまでも考える時間って本当に幸せですね。
それではおいおいネタバレしながら、この映画について紐解いていきたいと思います。
ネタバレ1:ピーターパンの本の行方について
それでは、まずは「ピーターパンの本の行方」について。
@ 2月28日 津田は房州書店でピーターパンの本を買う。値段は100円。
A2月29日 深夜3時 ドーナッツショップで、幸地ヒデヨシと出会ったさいに、津田はピーターパンを読んでいる。コーヒーをこぼしたシミはここでできたもの。
B 2月29日 21時 デリヘル嬢加賀まりこが連絡不能となる。
C2月29日 23時 加賀まりこより連絡。晴山青年を駅まで送って欲しいと。その際に3万円の借金を返してもらう。津田は3万円をピーターパンの本に挟む。
加賀まりこは晴山と待ち合わせてかけおちする予定だった。が、晴山は津田に行先変更を指示し幸地奈々美と落ち合う。
D2月29日23時半 津田はファミレス「あっぷるぐりむ」へ。「女優倶楽部」の社長が面接する予定だった奥平みなみが大雪で動けずそこで待っているという。奥平とその子供を車に乗せて、団地へ送り届ける。その際、奥平の子供が3万円を挟んだままのピーターパンを持ち帰る。
E奥平は、3万円の挟まったピーターパンを房州書店に持っていく。房州老人は、自分の遺産と一緒にピーターパンの本と3万円をキャリーケースに入れる。
Fピーターパンの本は大金とともに津田の元へ戻る。3003万円のうちの端数の3万円をまた本に挟む。
* Dについて。奥平の子供はなぜピーターパンの本を持ち帰ったか?それは自分の本だったからです。母親がその本を房州書店に売り払ったなど思ってもいない。この子にとっては、それは慣れ親しんだ自分の愛読書だったのではないでしょうか?
ネタバレ2:鳩のゆくえ
この鳩(偽札)の動きがまた複雑です。パンフレットを参考にしながら整理していきます。
@従業員の佐野が3万円の前借りを幸地ヒデヨシに頼む。
A倉田健次郎が、店に封筒を預けると幸地ヒデヨシに電話。
B幸地ヒデヨシが妻の妊娠の件で店を休んだだため、倉田依頼の封筒は金庫の中。
C従業員の佐野は、金庫の封筒を見て前借りの3万円を用意してもらったと思い、すぐに遊び人の田中に渡す。
D遊び人田中、デリヘルでその3万円を使う。相手をした加賀まりこは、店に渡さずそれを津田への借金の清算に使う。
E3万円、ピーターパンの本に挟まり、房州老人の元へと戻り、遺産とともに津田のもとへ。
F津田、3万円を本に挟む、うち1万円は床屋のまえだで使う。パチンコの玉貸機に入らなかったため、それが偽札を判明。倉田健次郎が動き出す。
G女を寝取られた山下が日本刀を振り回し、津田を追い詰める。「倉田がほしいものを持っている」と津田、3002万円を渡す。
実はこの中で2万円が偽札。3000万円は慈善家の堀之内へと寄付される。
ひとこと感想
長くなったので、感想は後日。ですが、ひとこと印象に残ったことを書き留めておきます。
房州老人は「津田に新作を書いて欲しかった」のですよね。
不祥事のすえ文壇に身を置けない津田ではあったが、少なくとも房州老人は新作を待っていた。
鳥飼なほみもしかり。
津田本人が思う以上に津田の新作は待たれている。
津田の作品は愛されている。
その見えない空気感を、一貫して感じていました。
「作品を愛する人がいるということ」その多幸感が、この映画の中には、じんわりとあるような気がしています。

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