2022年06月29日

「何この日本!?」的な「マリアビートル」映画化に頭がついていけない。ブラッドピットってまじですか?



伊坂幸太郎の「マリアビートル」が映画化されるという。

主演はブラッドピット!
いやはや、この予告編だけで頭がくらくらしました。
どういう作品になっているのか、まったく想像できません。

マリアビートル (角川文庫) - 伊坂 幸太郎
マリアビートル (角川文庫) - 伊坂 幸太郎


かなり好きな作品であったことは記憶にあるのけれど、詳細までは覚えていない。そこは「伊坂幸太郎の備忘録」の出番でした。
わたしは伊坂幸太郎の読んだ作品はすべてこのブログに「伊坂幸太郎の備忘録」として記録しているので
調べてみたらあっさりと出てきました。

これは2010年読了後に書いた感想です。

「マリアビートル」

東北新幹線を題材にしたクライムノベル。登場する殺し屋たちは「グラスホッパー」の登場人物と重複。

「トランク」はどんどん移動し、新幹線の中ではどんどん人が死に、そういう意味ではスピード感のある小説なのだけれど、むしろ腰を据えて楽しみたい作品。

蜜柑と檸檬のコンビの殺し屋も「きかんしゃトーマス」の話題などをふりまき秀逸だが、個人的に好きなのは運の悪い殺し屋の七尾である。「ほんとうに運の悪い人間」というのが世の中にはいるのだが、そういった「運の悪い人間のタフさ」や、タフであるための考え方みたいなものが非常に共感できる。そして、その七尾と対照的なのが「王子」。彼はどうなるのだろうか?好きなキャラではないけれど、今後またどこかの伊坂小説に登場するような気もする。

運がいいとか悪いとは関係のない「まっとうさ」。そういうものが貫かれているからこそ、犯罪小説が面白いのだと思う。

まったくの蛇足であるが、なにかのインタビューで「子どもを連れて列車を観に行く」と伊坂幸太郎さんが語られていたのを思い出した。記憶ちがいだったらごめんなさい。


* ちなみに「マリアビートル」は現在「英推理作家協会賞最終候補の5作品に選ばれているとのこと。もう、なにがなんだかびっくりです!

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posted by noyuki at 19:56| 福岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月17日

マイクロスパイ・アンサンブル (伊坂幸太郎の備忘録)


幻冬舎の特設サイトより猪苗代湖で2015年から開催されている音楽フェス「オハラ☆ブレイク」のために、伊坂幸太郎さんが毎年書き続けた短編「猪苗代湖の話」。会場でしか手に入らなかった7年分の連作短編が満を持して書籍化!

https://www.gentosha.co.jp/s/microspyensemble/(マイクロスパイ・アンサンブル 幻冬舎特設サイト)



ということで7年分の、ミクロワールドと会社員のワールドを読みました。
読んだ感想は「とてもしあわせだった」です。

コンサート会場って、特別な思いがあふれているような気がします。
「そこに行けば普通のことがすごいことにみえる」みたいな世界。
ワクワク感。
ここに来るために、これまでがんばってきたぜ感。
そして、ああ、幸せだった感。
この思いを胸に抱けばもうしばらくは生きていけるね感。
そんな空気感をまとった猪苗代湖のフェスが舞台です。

その場所でエージェントハルトに拾われた少年の活躍。
失言を後悔しているサラリーマン。
それが1年ごとに描かれている。
裏切ったり裏切られたり、思ってもないひどいことを言ったり、後悔しながらも祈ったり。
そんな日常が軽やかな音楽のフレーズとともに綴られている。
7年プラスアルファの月日が経っている。
「成長した」という言葉だけでは語りきれないものがあります。

7年という期間を切り取ってみて。

わたしはそのあいだにどんな成長をしたのだろう?
書くことは相変わらず好きだし、ずっとずっと何かしらを書き綴っているけれど。
月日はすぎても成長はできない。でも、なにかが少しずつ変わってる。
「少しうまくいって」「少し幸せになる」感じ。

そういうもんじゃないのかな?

7年という月日も。
特別な場所に集う人たちも。

ほら、うまく感想もまとめられないけれど、とにかく「幸せな物語」でした。

引用フレーズも知らない歌ばかり。
と思ったら。特設サイトにプレイリスト見つけました。


https://lnk.to/microspyensemble  

⬆️伊坂幸太郎『マイクロスパイ・アンサンブル』- from オハラ☆ブレイク- プレイリスト


ピーズ、聞いてみたかったんだ!

ほら、やっぱり幸せ!





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posted by noyuki at 19:48| 福岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ミシンと金魚」永井みみを読んで、そしてちいさく祈った


ミシンと金魚 (集英社文芸単行本) - 永井みみ
ミシンと金魚 (集英社文芸単行本) - 永井みみ


認知症の老女カケイを描いた物語。

カケイはちょっとおしゃべりで、頭の中の記憶も少しばかり混乱している。
カケイはデイサービスの介護士のことを「みっちゃん」と呼ぶ。「おおきいみっちゃん」「ちいさい方のみっちゃん」
通院介助して、先生の出す抗躁剤に意義を申し立てる、強気な「みっちゃん」だっている。

カケイはあまり裕福でも幸福でもない若い時代を懸命に生きた。

このデイサービスには当時の泥臭い知り合いがいる。
少なくとも新興住宅街ではない、地元の人が長くいるような場所で、若い頃の怨恨や、家族のことを覚えている人だっている。悲しみも、苦しい時代もあったけれどミシンに熱中して仕事をこなし、それで失うものももちろんあった。そのことを知る人ももちろんいる。

だけども今のカケイは、少しばかり記憶もあいまいになり、少なくとも不幸ではないように見える。

なぜに、カケイが介護士たちのことを「みっちゃん」と呼ぶのか。
カケイの見えている世界に気づいたときに鳥肌たった。
そしてカケイの生き方をまるごと受け入れている筆者の世界観に鳥肌がたった。
すごい作品だとおもった!

カケイが大事にしているものを、筆者が同じくらい大事に思ってくれている。
「ここはなんて、しあわせな世界なんだろう」と思った。

わたしもケアマネのハシクレなので、人間は自然の道筋を逆行することはできないことももちろんわかっている。
そういう旅立ちの道の途中にいる人たちと一緒に立ち止まり、一緒に空を見上げることが、わたしたちの仕事のような気もする。
願うのは「この人の今がしあわせでありますように」
ただそれだけだ。

来し方を語るならいつまでも聴いていたい。
行末を思い煩うならば、その人の気持ちが穏やかになる日を待っていたい。
そしてなによりも。
今ここにいるこの人が、思い煩うことなく楽しく生きてくれればいい。

カケイの見えている世界を知っている人がいる。
筆者の見たカケイという世界が鮮やかに記録されている。

あるいはその全てが事実ではないかもしれないし。
そんなにいいことばかりではないのかもしれないけれど。

ちいさな祈りとともに。
カケイの世界はとても鮮やかに描かれていて、拍手喝采だった!




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posted by noyuki at 19:27| 福岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする