2005年04月30日

佐藤正午「土曜日の愛人」・きらら5月号にて

 きちんとして頭のいい男が好きだ。そういう類の男以外は好きにならない。
 そう思っているはずなのに、間違えて危険な無頼のにおいのする男を好きになったことが2度だけある。いずれも「物語」の中だった。
 1度めは二宮知子さんのマンガ「OUT」。テロリストもどきの何やってるかわからないウタちゃんに一目惚れしてしまい、そのまま二宮知子さんのマンガを完読してしまった。

 そうして今回、2度めの間違えた恋が襲ってきた。
 きららの1000文字小説で掲載される、佐藤正午さんの「土曜日の愛人」の彼だ。
「わたしのどこが好き?」「顔だ」
 そんなことを冗談でも言う男はわたしの頭の中には住んでいない。そもそも正午さんの小説に出てくる男たちは最近冗談がすぎる。その証拠に、すぎた冗談は誤解され、女をマジに怒らせてしまっている。(野性時代連載中の「5」のことです)

 ところが、冗談とそっけなさの隙間に、小さな真実が見え隠れする。女が不幸な過去と飲み過ぎたワインに酔ってしまう前の瞬間を彼は捉え、そうして女の顔をピンク色に変えてゆく。甘い言葉も何もない、無粋なやりとりの果てに、だ。
 わたしも変えてほしいと思う。
 酔って自分の来し方を愚痴って。そうして投げやりな誘い方に、笑いながら応えてみたいと思う。
 そういう世界の中にある、小さな真実。
 それがとてもいいな、と思い。わたしは好きになるはずもない男に、あり得ない恋をする。

 物語は楽しい。
 現実ではけっして踏み込めない恋も、ここでは存分に楽しめる。

きらら5月号、「土曜日の愛人」はここにいます。

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posted by noyuki at 22:44| 福岡 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 佐藤正午系 盛田隆二系 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こっそり告白しますが、片山恭一さんの新作。「また人が死ぬ話かよ〜」とか言いながら一気に読んでしまい、号泣してしまいました。
Posted by noyuki at 2005年04月30日 22:59
本当に最近のshogoさんの小説の男は冗談がすぎます。
だけど、ほんと、土曜日にはかなりやられた気分です。
Posted by かてりな at 2005年05月05日 19:17
冗談がすぎるのが、作風として固定しましたね、すばらしいです。
でもって、これってすぐに認知されるんでしょうか?
Posted by noyuki at 2005年05月05日 21:24
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