2016年06月22日

伊坂幸太郎の備忘録「サブマリン」講談社

母が骨折して入院した。
救急車で運ばれたものだから、荷物もなにもない状態で病院のベッドでの生活がはじまった。
夜にわたしが家に帰ろうとすると、母が言う。
「のゆき、なんでもいいからベッドで読める本を持ってきて」
持っていたバックパックを開くと、文庫を含め三冊の本が出てきた。
ちょうど読み終えていたのは伊坂幸太郎の「サブマリン」。
「これでいい?」と聞くと、「それがいい」という。

その後、手術の痛みに耐えたり、リハビリにいそしんだりしているが、遅々として本のページは進まない。
わたしは「伊坂幸太郎の備忘録」を書くまでは誰にも貸さないというスタンスなのだが、今回それが破られてしまった。

というわけで、今回はじめて、本が手元にないままで「伊坂幸太郎の備忘録」を書いているわけですが、これ以上あいだをあけると、もっと忘れてしまいそうなのでご容赦ください。

サブマリン -
サブマリン -




「家裁調査官」陣内さんと、武藤のふたり組が、「チルドレン」から12年ぶりに登場。
12年たって変わったこと。未成年の無免許運転殺人、ひきこもりのハッカー、なんだか事件の殺伐度がレベルアップしたような気がする。
変わってないこと。相変わらずの陣内さん!

大きく分けて、ふたつの事件に関することが描かれているのだけど、思いのほか、登場人物も多くて、ちょっと複雑な人間関係。でもその分、小ネタのステキなエピドードもたくさん用意されている。

個人的に好きなキャラクターは若林青年。
「ひとつの事件に関わる」ことの意味を体現している人。
「人を殺してしまった青年」という事実は、新聞の字面のようにひとり歩きしてゆくけれど、ほんとうの若林青年を見ると、なんだかほっとする。
世の中にはけっこうこういう人も多いんじゃないだろうか?
きっといるにちがいない。

「サブマリン」の中には、こういう「ほっとする部分を持ってる人」がいっぱい登場する。
きっと、現実世界にもこういう人はいっぱいいるはず。
この本は、そう思わせてくれる作品。


*  *  *

そうして、体力的にも回復してきた母は、テーブルに置いてゆっくり本を読む集中力も取り戻していった。
しおりはもう、半分を超えた場所をさしている。

「のゆき、この本は読んでいるとけっこうおもしろいよ!」

わかってるよ、そんなことは。
でも、こうやってファンが増えてゆくのもまた嬉しいものだ。

*  *  *

もうひとつ追記

「あ、この本...」
病院の回診の先生が指差したのだそう。
「読んでみたいな、と思って、でも、まだ買ってないんですよね」

案外一冊の本がいろんな話題を作ってゆくものです。




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posted by noyuki at 15:13| 福岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 伊坂幸太郎の備忘録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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