佐藤正午ファンなので、何度も何度も読んでいる作品です。
ストリーのおもしろさもさることながら、その文体を追うだけで幸せな気持ちになれます。
正木瑠璃が公園の砂場で佇んでいたり、小山内瑠璃が「黛ジュンの夕月」を口ずさみながら校庭の鉄棒よりかかっていたり。
そのひとつひとつの文章が、まるで映画のスクリーンのよう。
だから自分なりの映画シーンを何度も頭の中に思い浮かべていました。
「シャフトのアニメだったらこんな感じになるだろうな」などとアングルまで考えてみたりしてw
そんな「月の満ち欠け」が本当に映画になりました。
おめでとうございます!!!
https://movies.shochiku.co.jp/tsuki-michikake/
(月の満ち欠け・映画公式サイトはこちら)
「月の満ち欠け」は生まれ変わりの物語。
結婚していながら、大学生の三角哲彦と恋に落ちる正木瑠璃は、ある日列車事故でなくなってしまいます。
そして、小山内家の娘として生まれ変わり、三角哲彦を探し求めはじめる。
会えずに18歳でなくなり、また、生まれ変わる。
何度も生まれ変わりを繰り返す物語です。
「あり得ないものを、本当のように見せる作家」の真骨頂の作品です。
あり得なくても楽しめる。あり得なくてもせつなくなる。
百歩ゆずって「あり得た」としても、世間の目や状況から考えると二人が一緒になるというのは「あり得ない」けれど。
それでも、物語の中では、それは「本当のように見える」物語です。
わたしが読んでわたしが想像した映像と、実際の映画が同じように出来上がるわけではないので「それはまた、違う世界の(月の満ち欠け)」になるでしょう。
素晴らしい作品であったらいいなと思っています。
ひとつの素晴らしい作品が、いろんな人の手で何度も生まれ変わる。
そういう「生まれ変わり」を繰り返し、この作品の中にあるものが、伝わり続けるのもまた「月の満ち欠け」なのでしょう。
正木瑠璃は有村架純、三角哲彦はsonow manの目黒蓮です。小山内堅は大泉洋、その妻小山内梢は柴咲コウ。
生まれ変わりの相関図を作ってみました。ストリーに迷ったら、ご参考にどうぞ。
そして、自分自身が「月の満ち欠け」にインスパイアされて描いた「戦場のパーティ」です。
これもまた、生まれ変わりの物語。
http://noyuki.seesaa.net/article/451325166.html