「他人のことはパズルだと思うよりも天気だと思った方がいい」
という伊坂幸太郎らしい「帯の名文」に惹かれて読んでみました。
とは言うものの、電子書籍は「パズル」「天気」「イブゲンゾーゴ」の3冊の分冊。「竹やぶバーニング」と「透明ポーラーベア」はなかったけれど、これは読んだ覚えがあったのであきらめました。
「パズル」・・・書き下ろし作品。マッチングアプリが舞台。
マッチングアプリで知り合った朝田寧々さんに会えない日が続く僕は「マッチングアプリでしか出会えない探偵・財音杏(ザイオンアン)」にそのことについて相談する。
なかなか鋭い観察眼で財音杏が謎を解く、という物語。
最初財音杏が謎解きしたときのわたしの感想は「伊坂幸太郎らしくない結末だな」でした。
ところがそれは真実ではなく、結末は違ったところで転がっていった!
「助けるつもりが大迷惑」だったり、「まったく悪気がないのに、とんでもないミスをして」しまったり。「いい人であろうとしても完璧にいい人ではいられない」僕たちに、僕たちらしい結末が訪れる。
そこに伊坂幸太郎らしい「幸福感」というものがあると思いました。
それを十分に堪能できる作品でした。
「Weather」・・・2012 年の作品。天気の話ばかりしている大友さんは、親友の清水さんの過去の女関係が婚約者にバレたらいけないと思っている。
清水さんは、婚約者に内緒でレストランに出かけたり、怪しい行動が多い。大友さんは、旧知の婚約者に頼まれ、清水さんが浮気していないか調べることとなる。
・・・浮気ではなかった。
そしてここにも、伊坂幸太郎らしい「幸福な結末」がありました。
嬉しくなって泣きました。
「イヌゲンゾーゴ」・・・どういう意味のタイトルか最初わからなかったのだけど、大言壮語の「大」が犬に変わっているらしいw
しかも作者は。「伊坂幸太郎」ではなく「伊坂幸犬郎」とのこと。
すごいですね。よく考えられたものです。
犬たちの会話の中を聞くと。「ハチ公」や「桃太郎」「ブレーメンの音楽隊」?いろんな物語に登場していたことがわかる。
なんだか不思議でいて楽しい物語でした。
文章の精度や物語としての完成度。
そういうこともさることながら。わたしが伊坂幸太郎の作品を読むのは「伊坂幸太郎的的多幸感」を味わうため。
改めてそう思えた作品でした。
うん、幸せになれた。


