「ああ、わたしは生まれ変わっても、どこかで道を間違えても、きっとこの人と一緒になるのだ」
デパートの片隅にあるボディソープコーナー。
そのブランドの液体ボディソープをいつか買おうと思っていたわたしは、暇にまかせてゆっくりといくつもの香りを味わっていた。
どれも淡い香りで、なかなか見分けがつかない。
ショップスタッフも不在で、遮る人もいないものだから、時間に任せて何度も何度も香りを味わい、そして最終的にひとつのボディソープを選んだ。
落ち着く香りだ。
若いときはも柑橘系やウッド系の香りを選んでいたのに、最近はとても甘い香りを選んでしまう。
どうしても甘い香りを選んでしまうのはなぜだろう?
甘やかしてほしいのか?
ボディソープの香りは他のどれも、よい香りだった。
きっと他の香りも同じようにわたしに合うにちがいない。
次回はまた別の香りを選ぼうと思った。
そして次にデパートに行ったとき、コンディショナーが切れそうなことを思い出した。
使いつけをそろそろ変えていいタイミングなのかもしれない。
ボディソープと同じシリーズから選ぼうと思った。
今度はショップスタッフが応対してくれた。
「どれも良い香りです、自分もいろいろ愛用している」
と話してくれた。
わたしと同じくらいの年代の、清潔な陶器のような肌の女性だ。
前にどれを買ったのか覚えていない。けれど、他の香りも試してみたいと言うと「ゆっくりと、存分に選んでくださいね」と言って、いったん下がってくれた。
おそらく、わたし同様、じっくりと選ぶ人も多いのかもしれない。
コンディショナーの香りを、またも時間をかけて選んだ。
最終的に2つほどに絞り込んで、何度も2つを味わったが、最後のひとつの方が「なんとなくいい香り」に思えて、そちらに決めた。
「お決まりになりましたか?」
ショップスタッフが、他の製品など紹介しながら簡単に包装してくれた。
家に帰り、バスルームにコンディショナーを置く。
その日の夜にさっそく髪を洗う。
いい香りだ。親しみのあるいい香り。
と。ここで、ボディソープの瓶を確認し驚いた。
選んだのはまったく同じ香りだったのだ!!!
同じ過程でなんども全てを試す。
そして同じ過程で丁寧にひとつのものを選ぶ。
そういう行程を経て。
ちがうものを選ぼうと思っているのに。
わたしはそれでも同じものを選ぶのだ。
きっときっと。わたしは生まれ変わってもこの人を選ぶのだろう。
日常の些細な習慣をどれだけたっても同化できなくて、毎朝歯ブラシホルダーの場所をずらしたとしても。
休日のランチのチョイスが毎回気に食わなくて、ときにはひとりで外食したとしても。
性格のすり合わせができなくて、微妙な食い違いを罵り合っても。
罵り合って、いやになって、他の人に気持ちを揺らしても。
ときには嘘をつき、ときには裏切って放置しても。
それがお互いさまだったとしても。
それでもわたしはこの人を選ぶだ。
Gardeniaの香りが教えてくれた。
それでもわたしは無意識に。きっとかならずこの人を選ぶのだ。

