2005年05月28日

昨日の続き「おでかけブック」細川貂々さん。宣伝がかわいい〜。

もう、あまりの幸せ度に参っています。
そうして著者のブログを見てみて、またまた感動!
素敵な宣伝マンガです。

イグアナ〜

カメもある〜、このカメのオチは、飼ってる人間にはよくわかります

お出かけブックはこちら
すごく癒される本です。
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2005年05月26日

細川貂々さんの「おでかけブック」大和書房 

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 昔、小さな子供が描いた女の子の絵をとても大事にしてました。にこにこ笑っている顔がとても素敵で、見ているだけで幸せになれたからです。
 この本の表紙を見て、大事にしていたその絵を思い出しました。これを買って、表紙を何度も眺めていよう。気分が落ち込んだときも疲れた夜も、何度もこの表紙を眺めようと思って手に取りました。

 もちろん表紙だけでなく、中味も予想以上に幸せになれるものでした。
 ブリキの缶とか石とか着物とか、町の風景とか、自分の愛するものをひとつひとつ紹介してくれてます。骨董市の歩き方とか場所とか、情報を織り交ぜながら、「大好き」というオーラいっぱいに紹介してくれてます。
 
 どんなに小さなものでも、見慣れた町の風景でも、好きなものを好きと言えることはなんて幸せなことなんだろう。自分だってそんなふうでいいんだ、ちっちゃな「好き」をもっと大事にしていこう、それが幸せの第一歩なのだから、と思わせてくれる本。

 どこにも行けない日にも、神田、日本橋、麻布十番などを楽しく散歩できます。着慣れない着物も、いつか着てみようという気持ちになれます。そうして何よりも、「自分だけの大切な宝物を必ず持とう!」という気持ちになれます。
 何度も何度も、その日の気分で繰り返し読みたくなるような本です。

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2005年05月08日

GWに読んだ本・その他編「働きマン」安野モヨコ モーニングKC他

 安野モヨコ自身が働きマンなのだと思います。量産しているという意味ではなく、ほんとにいろんなジャンルに挑戦していらっしゃる。たとえば、なかよしで「シュガシュガルーン」という少女向けを連載しているかと思えば、モーニングでは「働きマン」で男社会でがんばって、しかも「美人画報」にはおしゃれの話がいっぱい! 

 先入観なく読んだ「働きマン」はマジに楽しめました。出版社のライターで、彼氏そっちのけで、好きとか嫌いとかなくバリバリ仕事をこなす女性。なんかモヨコさんと重なるかも・・・そういうハードな生活をしている人にしか見えないものがあって、それをイヤミにもグチにもせずに楽しく描けるってのはすごいと思いました。

 *****

 その他読んだ本。ジョージ朝倉さんの「カラオケバカ一代」・・ギャグが走りすぎてついていけなかったけど、少女漫画の部分はすごくおもしろかったです。
 岩波の「図書」 ・・ 佐藤正午さんの「痴人の愛」評。これはすばらしかった! このシリーズ、名言や名解釈がいっぱい出てきて、はなせません。
 マンガ雑誌「OFFICE YOU」「JOUR すてきな主婦たち」。両方とも厚さ5センチくらいあるのにヒマにまかせて完読しました。「マジ・ベンテン」のファンです。あと、「JOUR」では「ふまんたれぶー」の最終回を読めて嬉しかった。レディコミって、こんなに種類出て、誰が読むんだろうなあと思ってたけど、わたしだったんですね。

 長かったGWも今度こそ終わり。
 新年度の環境の変化がよほど疲れたのか、ほとんど読書、ときどき散歩の毎日でした。あと、よく寝たなあ・・・いちにち9時間くらい。
 人間はこれくらいのペースで生きてもちっとも退屈しないものなのですね。
 これからも、ペースダウンした生活を心がけていきたいものです。

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2005年05月04日

GWに読んだ本2 サタミシュウ「スモールワールド」

 野性時代で読んでいて、ついに単行本化!
 ジュンク堂で捜したけど、新刊平積みで見つからない。同行していた友人が検索してくれたら「耽美系」のコーナーにありました!  表紙が・・・平積みにできない理由? きれいな写真なんだけどなあ・・・

 いやらしさも楽しいけど、ドキドキするのが楽しい。とくに香奈が好きだって告白されるところが泣けます。そのときの台詞がすごくいい!
 野性時代でカットされていたいろんなプレイが全録。山手線プレイとか、セーラー服コスプレ野外プレイとか。あと、ご主人様へあてたメールも香奈のいろんな思いが詰まっていて、これが単なるエッチ小説とは一線を画しています。

 サタミシュウは相変わらず覆面作家ですが、これを読んで、やはり女性の作品だと確信しました。
 服装の細やかな描写が、やはり男性のものではない。男性が望んでいる艶っぽい女性の服装というよりも、女性が自分を美しく見せるために選んだ服のようにしか思えないのです。そうして、シックな服をブーツと合わせたり、ヒョウ柄のビスチェを着たりという部分が、作者の女性の部分を主張しているように思えます。

 プレイにしてもそうです。
 被虐の部分も含めて、こんなふうに扱われたいという欲求が女性のものであるように思えてなりません。
 だから、女性を惹きつけるのです。

 雑誌でカットされた部分は、ひと段落すべて、というところもありますが、ラストに至っては、細やかな描写が増えて、感情移入できる部分が大きくなりました。
 さわやかな読後感!

 ああ、みんな早く読んで、話題になればいいのにとマチマチしてきました。
 必読の、後世に残るエロ小説です。

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2005年05月03日

GWに読んだ本・1「最後に咲く花」片山恭一著・小学館

 20ページほど読んで、人が死ぬ話だということがわかり、「またかよ〜」と思ってしまったのだが、結局完読する頃には号泣してしまった。
 粗い中に大切なものが光っているような物語。

 主人公は株取引らしきことをして巨額の金を動かしている人物。その大学時代の友人が不治の病で・・・ 
 なんてあらすじだけ書いたら、やっぱおもしろくないですね。
 若い頃の「死」との遭遇を描いたのが「セカチュー」なら、こっちは中年になって「死」が少しだけ身近になりながら、若い頃と比べものにならないくらいの現実を抱えた主人公の物語。
 現実の複雑な問題は、仕事と絡みながら微妙に心に影を落としていって、その雑多さの中に「死」がある。
 そうして、ラストの心境が・・・作者が到達した場所が・・・・なんとも言えず、胸にこみあげてきました。

「きらら」で連載されていた「遠ざかる家」を読みながら、もう一歩入り込めないなあと思っていたけれど、このラストは本当に迫ってきました。

 雑多な現実の方はミステリーのように絡み合って繋がっていて、それなりにおもしろかったけれど、作者の主観みたいなものが見え隠れして入り込めない部分があったのも否めません。
 だけど、それを差し引いても、読んでよかったなと思える作品でありました。

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2005年04月12日

村上龍「半島を出よ」は長くてこわい!

 こんな書けそうもないことをよく書けるなあ、と思っていたら、本人もあとがきで、「書けるわけないが書かないとはじまらない」と思いながら最後まで書き続けたと言われていた。
 そんな「あり得ない」小説だった。

 北朝鮮軍が福岡を占拠し、福岡は日本から独立するという方向で物語は進む。
 固有名詞も全部実名、福岡に住んでいるとそのロケーションの設定にまず驚く。まるでほんとうにシミュレーションしたような設定だ。
 後半の展開は意外性に富んで目を離せないものだが、ネタバレになるんでここでは割愛する。

 軍事オタクのような分厚い小説が、なんでおもしろいかというと、やはり、心の動きの細やかさという他ない。NHKの女性と北朝鮮の軍人との淡い感情のすれちがい。九州医療センターの老齢の医師と、北朝鮮女性の心のふれあいから始まるもうひとつの人生。少年たちやイシハラの考え方。それに村上龍さんは残虐さを描かせたら超一流だと思う。(だから読みたくないときもあるけど)。
 とにかくびっくりするような展開で、もうびっくりである。

 前半は「作者の意図」や「現実の危機管理の問題」みたいなものが入りすぎて純粋に物語に入り込めなかったけど、後半は一気だった。
 もう、ほんと、びっくりである、一読に値する小説。

*****

 はい、それでもケチをつけてみようのコーナーです。
 博多弁がびみょーに佐世保っぽいなと思う箇所が何カ所かあります。
 あと、これだけ固有名詞使って、地名とか実際に住んでいる人には衝撃だろうけど、新聞社、NHK、ホテルまで実名です。それもリアリティのため異論はありません。
 でも、イシハラは「幻冬舎の石原常務」。西日本新聞の横川さんは「西日本新聞に勤める友人の中川さん」。ネタバレすぎます。
 ちなみにこの小説を読んだのは、母の一言から。
「西日本新聞にえらいおもしろいて書いてあるけど、あんた知っとった?」
 知りませんでした。朝日に一面広告が出たのはその数日後だったから。
 フライングしすぎ〜(笑)

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2005年04月09日

「失踪日記」吾妻ひでおと「監督不行届」安野モヨコ

「無頼派はみんな結婚している」というのは、佐藤正午氏の名言だ。(岩波の「図書」の文学評に出てきます)
「失踪日記」を読んで、まずこの言葉を思い出し、奥様の苦労をつい思いやってしまった。
 一流の漫画家である吾妻ひでお氏が失踪する。そのときの経験をマンガにしたのがこれ。仕事からの逃避して、雨の中毛布にくるまったり、配管の仕事をしたりする。警察に保護されたりもする。「あんた、失踪届が出てるよ」と言われ、家族が迎えにくる。
 一度ではない、二度も。おまけにアルコール中毒になって病院に入ったりもする。
 正直言ってあまり笑えない。なんで笑えないんだろう? 
 たぶん、自分とは違う種類の人間だと思ってるからだ。違いすぎて感情が入らない、むしろ自分が入り込まないようにシャッターを閉じているような気分。距離の取り方がわからない、わたしには無理! と思った。

 同時に買った「監督不行届」の方がおもしろかった。
 大好きな安野モヨコのだんなさんは、エヴァンゲリオンの庵野監督。そのふたりの結婚生活が「オタクの嫁、略してオタよめ」になることをテーマに描かれている。巨匠二人の結婚生活はどんなんだろうという女性週刊誌的な興味で買ったのだが、なんだ、ふつーじゃん、オタクって家族でやると楽しいんだなー、あれ、なんだかウチに似てるぞ、あ、そか、ウチだって、このままでいいんだ、という感じで読める。
 
 奇しくも両方とも私小説的なマンガだったけど。日常を逸脱することより、日常を極める方がおもしろいように見えるのはなぜだろう?
 単純に読んだときの心の状態なのだろうか?

「どこか知らない場所に自分を連れてゆく」ことばかりを夢みていられない。
 ここにしかわたしはいないのだから。
 あくまでそれは、最近の精神状態のせいかもしれないけれど。

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2005年03月06日

感謝! びっくりトラックバック

 サタミシュウ氏のことについて前に書いたところ、連載中である「野性時代」の「スモールワールド」のブログからトラックバックをいただいた。びっくりである。ちょっとしたつぶやきではあったけど、読み拾ってくださった担当さんの「スモールワールド」という作品に対するこだわりを垣間見たような気がした。

 サタミシュウ氏の「スモールワールド」はひとことで言えばH小説。それもかなりハードな描写が連続する(それでもかなりカットされているらしい!)。わたしはSMという括りでいたけれど、3回の連載にわたって読んで、やはりそれだけではないものを感じた。
 関係を作るのはその根底にはやはり愛があるのだろう。男は執着させたいと思い、用意周到な理由や環境までそのために用意する。服の好みひとつ変えさせるだけのためのアリバイ工作。
 だが、どんないやらしいことも受け入れる女性を作り上げるまでの心情。そのあたりを読んで、想像だにできなかった男性の細やかな内面の描写が殊に素晴らしいと思った。

 作者は依然、謎のままだ。女性か男性がさえわからない。
 こんなに細やかな男性の心理を描けるのは男性でなければ無理のように思えるし、調教のすえの最後の行為のときに意外なほど優しくされてイッてしまうという願望は女性ならではのもののようにも思える。
 いずれにしても、異性の心情まで細やかに描ける一流の書き手であることには間違いない。
 だがTBでもそれには応えてくださらない。気になってとても悔しい。
 連載2回めあたりから、サタミシュウ氏を検索してこのブログを来られる方が増えた。毎日ひとり以上、多い日は3件ほど検索から来られている。これだけの人々がサタミシュウ氏の正体を探しているのだろう。

 今、わたしは自身がファンである某作家さんがサタミシュウ氏ではないかと勝手に決めている。
 雑誌のインタビューで「いままでのジャンルでいままでの人物を書くのはこの作品で終わり、これからしばらくは、別の人物を書いていきたい」と言われていたのを思い出して。
 だが、これは確証でもなんでもない推測にすぎない。
 読者はきっとこういうふうにして、いろんな作家を想像して楽しむのだろう。

「スモールワールド」ノーカット版が春には単行本で出版される。「リモート」という新作の新聞連載も決まっているらしい。
 もうしばらく、正体不明のサタミシュウ氏を追いかけてゆきたい。
 読みたいものがたくさんあるのは幸せだ。

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2005年02月11日

村上春樹「偶然の恋人」新潮3号を読む

 短い小説なので、このまま立ち読みしようと思って、紀伊国屋でつらつらと読んでいた。
 とちゅうで、おい! 立ち読みしてる場合じゃないぞ、これは買ってじっくり読んで、何度も読み返すような作品だ、と、頭の中でアラームが鳴り出して、そのままレジに向かっていった。

「偶然の恋人」はおおまかに分けると恋愛小説と言っていいかもしれない。
 だけど、恋愛とは心が通いあってカラダを合わせることだけなのだろうか。ゲイの主人公が偶然の重なり合いによって、ひとりの女性から誘われる。心は通っても、通わせられないものがある。
 そこから偶然は偶然を呼び、また別の出来事と繋がる。

「好き」が繋がり合うことは、ある意味偶然だと思う。
 だけど、繋がり合わない偶然によって、ひとりのひとりの人生が浮かび上がる。

 そのことについて、ここで深く語ることはフェアではないだろうし、語る度量もわたしにはない。
 だけど、語れないほどのものがたくさんあって、それは村上春樹さんの、けっしておごり高ぶっていない一番シンプルな感情のようで。
 悲しい物語でもないのに、うちふるえて涙がぼろぼろでてきた。

 こんな物語を作れる人がいるのだ。
 とても及ばない。
 及ばないほどのすごい作品が、ほんとうに淡々と流れている。それは嫉妬すらできないほどの出会いで。ここで、こうして読めたことに感謝するしかない。
 出会えた喜びだけで満ち足りていった。
 読んでよかった!

***

 東京奇譚集1、連作、ということになっていますが、連作っていうのは、次回は別の作家さんが書かれるってことなのかな?
「新潮」さん、教えて!
 ああ、また次号が気になる雑誌がひとつ増えました。
posted by noyuki at 22:48| 福岡 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月25日

SWITCHです

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昨夜のヤフオクでは100人入札、900円の雑誌が8000円で落札されたという「雑誌。SWITCH」
いやー、伝説のイベントの黒板直筆マンガ「あれから10日後」が読めるなんて!
かんどーしました。嬉しかったです。

週末は必ず本屋に行くんですが、見つけて即買いでした。
それが土曜日。
日曜にはもう、ヤフオクに出てたらしいです。
ラッキーとしか言い様がありません。

「こりゃ、ウチもヤフオクに!」なんて色気だしてみましたが、増刷されるんではないでしょうか、たぶん。
それに、せっかく買ったの、譲りたくないしね。
posted by noyuki at 12:50| 福岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年01月17日

村上春樹「地震のあとで」

 阪神淡路大震災から今日で10年。
 朝日新聞に村上春樹さんの小文が掲載される。題して「地震のあとで」だ。

 天災というものが人の心にどういう影響を与えるのか、わたしにはわからない。わからないから想像するが、おそらく想像は現実には及ばないものだろうと思う。
 その無力さにすごすごと引き下がることはたやすい。反して、想像力と体験を駆使して共感することはむつかしい。

 だが、春樹さんという方はそれをやろうとしたのだと思う。
「神の子どもたちはみな踊る」は好きな作品群だった。天災がどういう影響を人に及ぼすのか、そしてその体験はその後の人生にどう影響するのか。それを声に出して発する人もいるだろうが、それを分かち合える人に出会うのはむつかしい。真摯に共感できる物語があって、それが橋渡しとなった功績は大きい。
 テロ以降のアメリカで、この作品に共感する人も多いのだと言う。

 中越地震、スマトラ沖地震。天災は、人類の発展をせき止めるようにやってくる。
 無力になることはたやすい。
 自分を見つめ自分を描くことは、たやすくはないが、自分以外の人の為には行われない。結果として誰かに共感され、癒すことはできるかもしれないけれど。
 春樹さんはけっして他者を癒そうと思ったわけではないだろうけれど、それでもすごいエネルギーと想像力を駆使して共感しようとしたのだろうと思う。
 それが物語の力だ。

 物語の力もまた無力かもしれない。
 だけどわたしたちもまた無力な想像力で、物語を感じようとする。
 その無力なやりとりの繰り返しが、経済的な援助と変わらず、被災者の人々の心を復興させてくれることを願ってやまない。
 
posted by noyuki at 22:37| 福岡 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月29日

魔女になってもいい頃「西の魔女が死んだ」梨木香歩

 貸本クラブでまわってきた本「西の魔女が死んだ」。
 いいという話はよく聞いたけれど、自分で手に取る機会はなかった。

 読んでみたら、ゆったりした絵本のように、魔女の心得がいくつも書かれていた。
 それは、すごく簡単なこと。自分の意思を持って物事をすること。上等の魔女は外からの刺激に反応する度合いが低い、など。
 西の魔女の正体は、読んでみればすぐにわかるから省略するけど。彼女が言うひとつひとつは、いつも心療内科の先生が言うことにすごく似ていた。ということは、心療内科の先生も魔法使いなのか?

「とらわれないこと」と、先生はいつも言う。
 わたしは、とらわれるものが多すぎて、ダメになってしまう。「とらわれること」によって、生まれるものももちろんある。だけど、そこから生還するために、すごいエネルギーを消費するのも否定できない。

 この本を読んで、そろそろ魔女になってもいい頃かな、と思った。
「とらわれないこと」を意識した。まったくとらわれないことはできないので、とらわれる時間をすごく短縮するように気をつけた。
 道を歩きながら、「イヤなことを考えない考えない」と、繰り返してみた。
 もう、それでいい年になったような気がする。悩むことを「武器」にしなくてもいいんだと思った。

 たとえば、子供がはじめて読んだ本に感銘を受けるように、そんなことを真剣に考えられる本なんてそうそうないんじゃないだろうか?
 そう思い、ナツミに勧めてみる。
「ダメだよー。冬休みのウチに読む本を図書室から借りてきてるから、それ読んでると間に合わないよ」
「キリストの伝記と魔女の話だったら、やっぱり魔女よ。お母さんがぜったい読めって勧めたって言えばいいから」
 ナツミ、うなだれる。
「だって。この前そう言った、吉本ばななの「初恋」もわけわかんなかったんだもん・・・」

 ナツミが感銘する本に出会う道のりはまだまだ遠い。 
posted by noyuki at 22:24| 福岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月26日

詩集「ミドリンガル」鈴川夕伽莉

 ずっと昔っから文芸ネットで知り合いだった、鈴川が詩集を出しました。
 なんて、ここで書いても、ただの友達の宣伝って思われるかな?
でも、ほんとに誰かに読んでほしいと思ってここに書きます。

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2004年12月19日

野性時代1月号「サタミシュウ」ってどなたですか?

 エロ小説が好きだ。書くのも読むのも、もう、大好き。
 野性時代1月号掲載の「small world」は、展開も早くて内容もおもしろくて、もう一気に2度読みしてしまった。おまけにほら、こんなサイトだってあるし・・
  small world

 人気作家が覆面で書いたSM小説、もう、その設定だけでドキドキだったけど、なんていうか、これ、すごくリアルでおもしろいと思う。
 ひとつは女性の服装の描写。カーキ色のノースリーブのカシュクールのワンピース、なんて書き方は女性じゃなかったら、どんな男性が書くのだろうと思う。(もちろん、女性であることも想定してみたけど、どうも違うような気がする)
 今を書かせたらピカイチの石田衣良さんかなあ? でも、それじゃ当たり前すぎる感じだし。

 サタミシュウってペンネームはいかにもアナグラムって感じなんだけど、いろいろ並びかえてみてもなかなか思い浮かびません。
 どなたか、想像でも噂でもいいから、知っている人がいたら教えてください。
posted by noyuki at 21:45| 福岡 ☁| Comment(1) | TrackBack(1) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月12日

賢者の贈り物(O・ヘンリー)をひさびさに読んだ

「賢者の石」ではない、「賢者の贈り物」だ。
 そう、クリスマスプレゼントを買うお金がなくって、妻は髪を切り、夫は時計を手放す。結局、そのお金でお互いに買った髪飾りも時計用の鎖も無駄になってしまうというお話だ。

 月に1度くらい小学校で朝の本の読み聞かせをしている。
 去年はこの時期「サンタクロースっているんでしょうか」を読んだ。好評だった。今年は明日、この「賢者の贈り物」を読もうと思っている。あまり好評ではないと思う。翻訳が固くて口当たりが悪く、子供には理解しがたい本だからだ。
 みんな、とってもいい絵本を選んでくる。わたしは半分どうでもいいので適当なのを選ぶ。だけど、できるだけいろんな文体に触れてほしいとは思っている。
 昔は児童書はそんなになかった。だからむつかしい文体でも貪るように読んだし、わからない表現のものもどんどん読んでいた。6年生のときには「ゲーテ」とか「佐藤春夫詩集」とか読んでいた。もちろんわからない。だけど、知らない世界は高貴で複雑で、そんな世界があるだけで心躍った。
 今の6年生に同じものを求めはしないが、「複雑さゆえ、それに惹かれてゆく」ものもいいだろうと思う。

 ほんとは「岡崎京子」の「ぼくたちはなんだかすべて忘れてしまうね」を読もうと思っていた。だらだらした無力感の迫力を感じてほしかったからだ、けど、内容的に断念した。
 前に「3代目魚武」の詩集を読んだこともあったけど、これも思いっきりはずしてしまった。わたしはあんまり優秀な読み手ではないのだろう。
 まあ、いい。好きにやれる分、気が楽だ。

「賢者の贈り物」は、まわりくどい表現が多い。だが、ストーリーはよくできていて美しい。
 心の残ってくれるだろうか。
 片隅でもいいから。
posted by noyuki at 22:33| 福岡 ☁| Comment(5) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年12月06日

柴田よしき「close to you」を読んだ

 柴田よしきさんが男性か女性かもわからない、どういう種類の小説と言えばいいのかも未だもってわからない。そんな先入観も何もないところから本を読めるのは「貸本クラブ」のおかげだ。
 お客さんのうちに「最近読んだ本」を紙袋いっぱい置いてきたり、支払いのついでに紙袋いっぱいに本を詰めてもらったりする。お金のやりとりがないので副業とは言わない。ただ、気に入った本を貸し借りするだけだ。おかげで、まったく知らない作家さんの本を読む機会が増えた。

「close to you」は、赤川次郎系かなと思いながら読んでいたら、いつのまにか大友克洋を読んでいるような気分になってしまった本だった。
 派閥抗争から会社を辞めた男性が家でゴロゴロして次第に主婦の生活というものの複雑さを知ってゆく。同時に複雑な事件が起こり、数々の心理戦が繰り広げられる。もう、びっくりした。とにかく描写も細かいし、話も広がる広がる。ジェットコースターのようにストーリーが走ってゆく。
 根幹にあるのは、仕事をする共働き家庭と、専業主婦の価値観の違いだ。
 実生活からいくと、この二者は永遠にわかりあえないのではないかと思われるのだが、登場人物たちは話したり感じたり、憎しみを吐露したりすることで歩み寄ってゆく。そういう接点を作ろうと思うことがすごいと思った。

 ネゴシエイトしない、感じたことを口にしない、霧の中のような世界に生きている。
 だからわたしは他者のことがうまくわからない。わからないというのは多分みんな一緒だと思う。だから、わからない者の中立の立場から、両者を描き歩み寄らせるというのはすごいと思う。
 神の視点ではけっしてない。地を這うようにつぶさに描写で、物語が真に迫ってくる。
 これ、すごいおもしろかったです。
posted by noyuki at 22:08| 福岡 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月16日

「電車男」に純粋に泣けた

 掲示板では見知らぬ者たちが友達になれる、そうして会ったこともない友人に助けられることもある。だけど、誰もが会ったこともない友人に助けられる機会に恵まれているのではない。自分の弱さを素直に出せる人間、そうして他者の助言を受け入れることのできる人間だけが、そんな恩恵を受けられるのだ。

「電車男」は話題作で内容をご存じの方も多いだろう。
 2chの掲示板で、女性を助けた電車男がいろんな励ましを受けて恋が成就するという、インターネットならではのドラマだ。
 ただの掲示板の羅列なのに、気持ちのやりとりに純粋に何度も泣いてしまった。
 最後には電車男を祝福するAAがいっぱい。そっか、AAって、こんなに感動するのか・・

 さて、この「電車男」。インターネット発ということもあって、いろんなサイトがあるもんだ。
 電車男の時刻表とか電車男とか。
 ただ、記帳しようとしたら記帳所が閉鎖されていたりと動きも早い。

 この本を読んで「インターネットとは素晴らしい」などと言う気も毛頭ない。
 わたしにとって2chは敷居の高いところで、ニュース速報以外はほとんどみたことがない。
 インターネットは自分を映す鏡のようなもので、人を傷つけたいのならそうい場所があるし、素直な気持ちになりたいのならそういう場所があるというだけのことだ。
 そうして、その場所に真摯に自分自身をさらけ出そうとしたひとりの人間がいる。しつこいくらいに内面をうじうじと書き連ねながらさらけ出す人間、それをおせっかいなくらいに励ましてくれる人間。
 この物語はまるで寓話のようだ。いや、真偽を問うという意味ではない。そういう人間はそうすればいいだけのことだ。
 わたしはそうはしない。素晴らしい物語だと思う、それだけで十分だ。

 本になった時点で、この物語は動かないし、削除されることもない。
 そういう意味では、もう既にインターネットではなくなったのかもしれない。
 ただ、本当にこの物語に感銘を受け、これを本にしようと思った人がいた。その心意気はやはり素晴らしいと思う。
 拍手を送りたい。

posted by noyuki at 22:54| 福岡 ☀| Comment(3) | TrackBack(1) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月14日

「間宮兄弟」と安全パイ男

 その昔「安全パイ」と呼ばれる男たちがいた。安全パイ男は俗に「いい人なんだけどね」と言われる類の男だ。
 部屋でふたりでいても話は楽しいが何も起こらない、いっしょに仕事の帰りの食事をしたりボーリングに行ったり家に送ってもらったりもするが、恋人ではない。ボーイフレンドという言い方さえも適切ではない。彼等はどちらかというと女友達に近かったように思う。
 だからと言って彼等と遊ぶのが楽しくなかったわけではない。むしろ余計なかけひきをする必要がなかった分、純粋に遊びを楽しめた。
 一度ドライブのとちゅうでラブホの前を通ったとき、「寄っていこうか?」と言われたことがあった。「ううん、寄らない」と答えると、安全パイ男は「そっか」と言ってそのままラブホの前を通り過ぎた。彼等は恋愛に必要な執拗さのようなものを持ち合わせていないのである。(だから安全だった)

 江國香織の「間宮兄弟」を読んで、この安全パイ男たちを思い出した。
 間宮兄弟は冴えない兄弟である。ふたりの間にはいろんな遊びやルールがある。家で本を一日読んだりジグソーパズルに集中したりボードゲームをボロボロになるまで大事にしたり。
 女の子を誘うときは家でパーティをする。もちろんかすかな下心はあるのだが、それは執拗ではない。だから彼女たちにはその下心がまっすぐには届かない。
 間宮兄弟は、気持ちが届かないと失望したりもする。それを読んでいると胸が痛くなる。理由がよくわかるからだ。

 もう、今更バブルでもないだろう・・・とか、某テレビドラマを見て思ったりもする。
 一方で間宮兄弟の部屋の描写を読んでいると、とても安心する。こんな男が世の中にはいっぱいいて、彼等は恋愛も好きだけど、恋愛とは別の王国を持っていて、それがうまいこと共存できないでいるだけなのだ。
 がんばれ、間宮兄弟!
 いまだに男でいるのは大変だ。女はこういうときだけ、押しの強いひとことを待っていたりする。

 江國香織さんは、しみじみした愛を持ってこの間宮兄弟を描かれているように思う。
 そして、その満たされた感触はぴったりとわたしの中に響く。
 わたしはあの頃「安全パイ」なんて呼んでいた男たちの胸のうちを少しだけわかったようになる。
 
 この本はもういっかい読みたい本だ。不器用さと満たされ方のバランスがすごくいい。

 ***追記。

 ある日、なにかのきっかけで、安全パイ男と友達がセックスしたことがありました。
「へーっ、で、どうだった?」と尋ねたら。
「・・・ヘタだった・・・いい人なんだけどねえ・・・」と言われました。
 ああ、そうなんだなあ、としみじみ思いました。

                がんばれ、間宮兄弟!
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2004年10月24日

井上荒野「もう切るわ」 読まなきゃよかった!

 井上荒野さんという作家さんが気になって仕方なかった。
 ちょっとした記事や短編の文章がとても美しいし、大人の雰囲気を持っていらっしゃる。
 若い作家さんで雰囲気のある方は多いが、それとは一線を画した「厚い世界」というものを常に感じていた。

 だけど「もう切るわ」。
 もう、読まなきゃよかったとずいぶん後悔してしまった。
 いや、内容が悪いとかいうのではない。予想以上によくて、よすぎて、しかもわたしの嫌いな「好きな人が死んでしまう」という話で。その死に方の描写は、とてつもなく「ドラマ的死別の悲しさ」が押さえられていて。
 こういう切り口で、こういうものを読んだことがなくって、ああ、もう後悔するほど、逆にリアルな悲しさに襲われてしまったのだ。

 「せかちゅー」のような若者がはじめて経験する死というものにも、また定められた悲しさがつきまとう。
 だが、わたしたちの世代はもう「ヘタすれば不幸な病によって死ぬ人もいる」世代なのだ。
 歳さんは、わたし好みの男性ではけっしてない。むしろ、こういう男性には惹かれないというような代表だ。
 なのに、その強がりや矛盾や不整合性に共感してしまう。
 そして、歳さんを巡る、二人の女性・・・
 ああ・・・もう言わせないでください。

 ここまで言って、読みたい方はぜひ一読を!
 荒野さんが、もう少しライトなものを書いてくだされば、ぜったい読みたいと思うけど。
 これは、もう、読み返しません・・・

 あ、でも「きらら」連載中の「ズームーデイズ」はとてもいいなと思います。
 
posted by noyuki at 22:49| 福岡 | Comment(0) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年09月11日

「アフターダーク」村上春樹さんの本が届いた

 発売日に本屋に行けないと悔しいと思い、アマゾンに予約した。
 代引きにしたと信じ込んで、郵便受けに代金を入れて仕事に出かけた。
「あのー、代引きじゃないですよー」と、ペリカンさんが電話入れてくださる。あれ? カードだったのかな?
 まあ、そうだったのだろう。仕事から帰ると、郵便受けに本が入っていた!
 村上春樹さんの「アフターダーク」。
 その日は、夕飯もお風呂も早じまいで。部屋に閉じこもって、一気読みした。
 待ちのぞんでいた本が届く日は、いつも幸せだ。続きを読む
posted by noyuki at 22:53| 福岡 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 見て、読んで、感じたこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする